12 ヤンヤンつけボー
今日も山脈が浮世絵みたいだった
向かいに座ってる男の子が人差し指で弾いた
ヤンヤンつけボーのボーのカスが私の膝に乗っかった
いいかんじ
蒲田の小汚いラーメン屋の壁で
扇風機ががこんがこん震えながら豪速で回ってる
寿命の見える絶好調
そこそこ年季の入った佇まいの回転寿司屋の店前、
すしくいねぇ♪の曲
その隣で無表情で退屈そうに看板を持ってるガールズバーの女の子の手が、すしくいねぇ♪のリズムでパタパタしている
窓の無いエレベーターの中と外
こっちは1人
話し声が聞こえる
あっちは2人
こっちを全く意識していない話し声が聞こえる
あっちを把握してるこっちと、
こっちを把握できないあっちと、
それも把握してるこっち
2秒後に交わる世界線
好きでもない三ツ矢サイダーを飲んでその透明度に絶望した
泡と氷と甘さが透明感を際立たせてる
この透明はいらないと思った
作用のない毒を飲んでる気分
目に見える虚無
こんなに透明じゃなくてもいいのに
「太陽の膣に向かって射精してやる」